人の可聴範囲 — 20 Hz〜20 kHzが意味するもの
よく言われる20 Hz〜20 kHzはどこから来た数字で、実際の大人の耳はどこまで聞こえるのでしょうか。周波数によって耳の感度が違う理由まで解説します。
作成日 2026-09-26
20 Hz〜20 kHzは教科書上の外側の境界
人が音の高さとして感じられる周波数は、一般に約20 Hzから20 kHzまでとされます。神経科学の教科書 Neuroscience(Purves ほか)はこの範囲を紹介したうえで、乳児は20 kHzより少し高い音も聞こえるが、成長とともに高周波の感度を失い、成人の平均的な上限は15〜17 kHzに近いと説明しています。
つまり20 kHzは誰もが聞こえる線ではなく、健康で若い耳が十分に大きな音のときにようやく届く外側の境界に近いものです。個人差が大きく、同じ人でも年齢とともに上端が下がっていきます。
周波数によって聞こえる大きさが違う
耳はすべての周波数を同じようには聞き取りません。同じ音圧でも2〜5 kHz付近は大きく、ごく低い音やごく高い音は小さく聞こえます。国際規格 ISO 226 は、周波数ごとに同じ大きさに感じる音圧を「等ラウドネス曲線」としてまとめたものです。耳の入り口から鼓膜まで続く外耳道がおおよそ3〜4 kHzで共鳴し、この帯域を強めることも理由のひとつです。
そのため可聴限界は「何Hzまで聞こえるか」だけでは決まらず、どれくらい大きな音で聞かせるかによって変わります。20 Hzに近い低音や18 kHz以上の高音は、かなり大きな音圧がないとやっと聞こえる程度です。このサイトで音量を変えると限界が変わるのも同じ理由です。
可聴範囲の外の音
- 超低周波(20 Hz未満): 音の高さよりも、振動や圧力の変化として感じられます。風、地震、大型機械などから出ています。
- 超音波(20 kHz超): 人には聞こえませんが、コウモリやイルカなどの動物が使い、医療用の超音波画像にも使われています。
音の高さは対数で感じる
100 Hzから200 Hzへの上昇と、1,000 Hzから2,000 Hzへの上昇は、どちらも1オクターブの差で、耳には同じくらいの間隔に聞こえます。可聴範囲20 Hz〜20 kHzは約10オクターブにあたります。このサイトが周波数の目盛りとスイープを対数スケールで表示するのはそのためです。
このサイトで確かめる方法
- 高音の限界タブ: 8 kHzから22 kHzまで上がりながら、音が消える瞬間を記録します。
- 低音の限界タブ: 250 Hzから20 Hzまで下がりながら、消える瞬間を記録します。イヤホンやノートPCのスピーカーは低音の再生が弱く、耳より先に機器が限界に達することがよくあります。
- トーンジェネレーター: 特定の周波数を選んで鳴らし続けられます。
結果は耳と再生機器のうち狭いほうの限界であり、医学的な聴力検査ではありません。
出典
- Purves D. ほか, Neuroscience 第2版(2001), The Audible Spectrum — NCBI Bookshelf
- ISO 226:2023, Acoustics — Normal equal-loudness-level contours